毎日顔を合わせる人との関係がうまくいかないと、仕事そのものより、人間関係に体力も気持ちも使い果たしてしまうことがあります。
会議での言い方が引っかかる。休憩時間の空気が重い。誰かの機嫌をいつも気にしている。そんな日が続けば、「もう辞めたほうが楽なのでは」と考えることもあるでしょう。
職場の人間関係が理由で仕事を辞めることは、悪い選択ではありません。
ただ、つらさが大きいときほど、「会社を辞めたい」のか、「この人から離れたい」のか、「今の職場そのものが合わない」のかが、混ざってしまうことがあります。
退職を決める前に、一度だけ整理しておきたいことがあります。
なぜ職場の人間関係は、こんなに疲れるのか
仕事が忙しくて疲れた場合は、休日に休むことで少し回復することがあります。
ところが人間関係で疲れていると、会社を離れても「あの言い方はどういう意味だったんだろう」「明日また何か言われるかもしれない」と、頭の中でやり取りを繰り返してしまいます。
職場では、苦手な相手だからといって簡単に距離を置くこともできません。同じチームで働く、毎日報告する、席が近いなど、仕事を続ける以上は関わらなければならないこともあります。
そのため、人間関係の疲れは仕事の時間だけで終わらず、家に帰ってからや休日にまで残りやすいのです。
辞める前に考えたい5つのこと
1.疲れの原因は「特定の人」なのか「職場全体」なのか
最初に考えたいのは、何に一番疲れているのかです。
たとえば、特定の上司や同僚との関係だけが大きな負担になっているのであれば、部署異動や担当替えなどで状況が変わる可能性があります。
一方、職場全体の雰囲気や評価のされ方、仕事の進め方そのものが合わないのであれば、同じ会社の中で場所を変えても解決しにくいことがあります。
「誰が嫌なのか」だけではなく、「この職場の何が自分には合わないのか」まで考えてみると、問題が少し見えやすくなります。
2.心や体への影響が大きくなっていないか
「会社に行きたくないな」と感じることと、生活にまで大きな影響が出ていることは、分けて考えたほうがいいでしょう。
眠れない、食欲が大きく変わった、休日も仕事のことばかり考えている、涙が出るなど、心や体の不調が続いている場合は、退職の結論を急ぐより、休むことや誰かに相談することを優先しても構いません。
会社に産業医や健康相談窓口があれば利用できますし、必要に応じて心療内科や精神科などの医療機関へ相談する方法もあります。
「辞めるか、我慢するか」の二択だけで考える必要はありません。
3.辞めた後の生活を具体的に考えているか
人間関係から早く離れたいときは、とにかく退職することだけを考えてしまいがちです。
けれど、辞めた後にも生活は続きます。
次の仕事を決めてから辞めるのか。しばらく休むのか。その間の生活費はどうするのか。いわゆる失業保険など、利用できる制度があるのか。
こうしたことを退職前に確認しておくと、辞めた後のお金や仕事への不安を減らせます。
可能であれば、求人を見るだけでも構いません。「今の会社以外にも選択肢がある」と分かるだけで、気持ちが少し変わることもあります。
4.会社の中に相談できる人はいないか
直属の上司には相談できなくても、人事、その上の上司、別の部署の管理職、社内相談窓口など、話せる相手がいないか確認してみてください。
特定の人との関係が問題なら、配置や担当を変えられる場合もあります。
相談したからといって、必ず状況が改善するとは限りません。それでも、自分が何に困っているのかを言葉にすることで、「退職するしかない」と思っていた状態から、別の選択肢が見えることがあります。
5.「仕事を辞めたい」のか「その人から離れたい」のか
ここは、とても大切なところです。
仕事内容や給料、勤務時間などには大きな不満がないのに、ある人との関係だけがつらいのであれば、本当に辞めたいのは仕事ではなく、その人との関係なのかもしれません。
その場合は、異動願い、配置転換、担当変更などを相談してから退職を考える方法もあります。
反対に、人間関係だけではなく、仕事内容や働き方、会社の考え方にも限界を感じているのであれば、転職を考えることは不自然ではありません。
「何から離れたいのか」を分けて考えると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。
辞めることも、残ることも選択肢の一つ
職場の人間関係に疲れていると、「私が気にしすぎなのだろうか」「もう少し我慢するべきなのだろうか」と考えてしまうことがあります。
けれど、大切なのは我慢できるかどうかではなく、自分がこの環境で働き続けられるかどうかです。
異動を相談してもいい。転職先を探してもいい。少し休むことを考えてもいい。そして、考えた結果として会社を辞める選択もあります。
ひとりで考えていると整理できなくなったときは、会社の人でも、家族や友人でも、専門の相談窓口でも構いません。誰かに話しながら整理してみる方法があります。
身近な人には話しにくいという場合には、文章で相談できる「こころのよりみち」のような場所を使うのも、その選択肢の一つです。
辞めるかどうかを急いで決めるためではなく、「自分は何に疲れていて、これからどうしたいのか」を整理するために、誰かに話してみるのもいいと思います。







