夫婦仲は特別悪くない。それなのに、体の関係だけがずっとない。そのことを誰かに話したいと思っても、何から話せばいいのか分からず、そのまま一人で抱えている人は少なくありません。
友人に話せば大げさに受け取られそうで怖い。家族に話せば心配をかけてしまう。かといって、離婚を考えているわけでも、夫婦仲が本当に悪いわけでもない。それなのに、心のどこかに寂しさや物足りなさが残り続けている。そんな感覚を、うまく言葉にできないまま過ごしている人もいるはずです。
「これくらいのことで悩んでいいのだろうか」「誰かに話すほどのことなのだろうか」。そう考えているうちに、気づけば何年も一人で抱えていた、ということも起こります。
このコラムでは、セックスレスという悩みがなぜ人に相談しにくいのか、その理由を整理しながら、「誰かに話す」ということの意味について考えていきます。
セックスレスの悩みが、誰にも相談しにくい理由
セックスレスという言葉自体は珍しくなくても、それを自分の実際の悩みとして誰かに話すのは、想像以上に難しいことです。話しにくさの背景には、いくつかの感覚が重なっていることがあります。
- 夫婦の性的なことを他人に話すこと自体への抵抗感
- 「自分にも原因があるのでは」という不安
- 相手を悪く言うようで気が引ける気持ち
- 「それくらいで悩むの?」と思われることへの怖さ
- 話せば「別れたら」「浮気してみたら」など、極端な助言をされそうな警戒心
- 夫婦仲そのものは悪くないため、何を悩みとして話せばいいのか分からないこと
これらは一つだけでなく、いくつかが同時に絡み合っていることも珍しくありません。悩みの内容がはっきりしないまま、「相談するほどのことでもない気がする」と、自分の中で片づけてしまう人もいます。
身近な友人に話しにくいのは、性格が合わないからではなく、距離が近いからこそ言いにくいという面もあります。日常を知っている相手だからこそ、変に心配をかけたくない、気を遣わせたくないという気持ちが働くこともあるでしょう。
「離婚するほどじゃないから」と、悩みを閉じ込めてしまう
セックスレスについて、こんなふうに感じたことはないでしょうか。
「夫婦仲は悪くないのだから、これは相談するようなことではない」
けれど、この考え方には少し無理があります。相談は、関係が壊れかけている人だけがするものではありません。今の状態を続けていいのか、自分がどこに寂しさを感じているのか、それを確かめるために話すという選択肢もあるはずです。
寂しいのか、拒まれているように感じるのか、それとも関係そのものに漠然とした不安があるのか。この違いは、自分一人で考えているだけでは、意外とはっきりしないものです。誰かに話しながら言葉にしていくことで、初めて輪郭が見えてくることもあります。
自分の中では「大した問題ではない」と思おうとしていても、ふとした瞬間に寂しさがこみ上げてくることがあるなら、それは悩みとして扱っていいものです。深刻さの度合いで、相談していいかどうかが決まるわけではありません。
相談することは、結論を出すことではない
「相談する」と聞くと、離婚するかどうか、これからどうするかを決めなければいけないと身構える人もいます。しかし、相談は必ずしも決断のためのものではありません。
今感じていることをそのまま話してみる。まとまっていない気持ちを、まとまっていないまま言葉にしてみる。それだけでも、自分の中で何かが少し整理されることがあります。話す前から結論を用意しておく必要はありません。
「関係を続けたいのか、離れたいのか、まだ自分でも分からない」というところから話し始めても構いません。むしろ、そうした状態のまま話せる相手がいることのほうが、今は大事なのかもしれません。
今の気持ちを整理するために、できること
いきなり誰かに相談する前に、自分の中で気持ちを少し確かめておくと、話すときの負担が減ることがあります。
- 寂しいのか、拒絶されたと感じているのか、不満なのかを分けて考えてみる
- 相手に「何をしてほしい」のかを、漠然とでも書き出してみる
- 「相談=離婚を考えること」という思い込みを一度外してみる
これらは正解を出すための作業ではなく、自分の気持ちに近づくための準備のようなものです。書き出してみると、自分が本当につらいと感じているのは「体の関係がないこと」そのものよりも、「気持ちが伝わっていない感じ」だった、というふうに気づくこともあります。
こころのよりみちも、その一つの選択肢です
こころのよりみちでは、こうした夫婦のことや、セックスレスのように人に話しにくい悩みも、相談として受け止めています。文章をきれいに整える必要はありませんし、離婚したいのか関係を続けたいのか、結論が出ている必要もありません。今感じていることを、感じたままの形で書いてもらえれば十分です。
身近な人には話しにくいからこそ、少し距離のある相手に話してみることで、見えてくるものもあります。一人で抱えたまま時間が過ぎていく前に、言葉にしてみることから始めてみてください。







コメントを残す